もぶるる

モブルル短文です~ぬるぬるですが性描写あり
しかし序盤の虚無るるーしゅくんにモブがあれこれしてる内容なので不快に思われる方はバックして下さい。
良心の呵責に耐えかねたら消します…


短いですよ。

大人しい猫を拾った。

最初に見かけた時は少女と一緒に歩いていた。というよりは手をしっかりと握られ連れられていたという方が正しい。後ろ姿しか見えなかったがその足取りはふらふらとまるで体の軸を失ったようで見るからに危うかった。それだけなら特に目を引くものでもなくすぐに興味を失っていただろう。
薬のやりすぎでああいう状態になった奴など腐るほど見てきた。ここは掃き溜め。中東各地から人が押し寄せ賑わう市場だ。当然集まってくるのはまともな奴ばかりではない。バラックの店先にはけばけばしい彩りの布が垂れ下がっているが、その影で眠っているのか死んでいるのか分からない奴を蹴って起こすのは自治団の役目で俺の仕事ではない。
二度目に猫を見かけたのは夕食を屋台で済ませた後だった。店の灯りがギリギリで届かない暗闇に、昼間見かけた長い手足が投げ出されていた。みすぼらしいが清潔に整えられていた衣服は砂にまみれ、分かりやすく背中に足跡もついている。ザリザリと音を立てて近づくがそれは俺の足音に微塵も反応を示さない。そういえば顔を見ていなかったなとそばまで行って顎に手を添え顔を持ち上げた。茫洋とした瞳はどこを見る訳ではないが開かれたままで濁った紫色をしていた。しかし整った面構えはまたとないものだ。よく自分が見つけるまでここにいてくれたものだと俺は笑っていたに違いない。
「ほらお口開けて。昨日は出来たよね」
ものを口元に近づけるといやいやと首を振る。宥めるように撫でてやるとぱかっと口を開いた。昨日は鼻をつまんで息が出来なくしてやってからやっと口を開いたのに、目覚しい進歩だ。
俺は猫を発見した後抱き上げると早速アジトに連れ込んだ。することはただ一つで、うめき声しか発さない人形とのセックスは中々楽しかった。この人形は挿入される時の力の抜き方も中での感じ方も心得ていた。高まると奔放に喘ぎ出すところもよかった。
「慣れてるんだな。でも少し静かにしてくれ」
今までどういう生活をしていたのだろう。ずっとこうやって男に組み敷かれていたのだろうか。
汗で張り付いた前髪をかきあげてやると端正な顔があらわになる。
「お前のそっくりさんは世界を手に入れたのにな」
その猫はラスト・エンペラーに似ていた。