「んぅ、ん……」
誰かに身体を触られている。それは分かるのだが意識がはっきり浮上してこない。
まぁ、こんなことをするやつはスザクしかいないのだが……。胸の辺りの感じがいつもと違う。なんだか、重い。
ルルーシュはやっと目を開けた。自分の上に馬乗りになっているのは同じベッドで寝ていた男で、その点については納得するのだが、異変がひとつ。
「なんだスザク……」
「ねぇ、ルルーシュ。なんで君おっぱい生えてるの?」
「はぁ? 何を寝ぼけて……」
目をこすりこすり、やけに真剣な表情の恋人から自分の胸部へと視線を移せば、そこにはお椀状のふくらみが鎮座ましましていた。
「な……に……?」
狼狽して動けないルルーシュを置いて、スザクは両手で揉みしだくようにその存在を確かめる。
「パッドじゃないし、まさか僕がいない間にシリコンでも入れた? でもこの感触は確実に本物だ……」
「は……なんなんだこれは!!」
突如自分に生えた乳房を視認してからのルルーシュの行動は早かった。即座にスザクを上からどかして自らの股間を確認したのだが、そこにあるべきものが、ない。
「うん、僕も確認した。そっちもないんだよね。ルルーシュ……手術、したのか……?」
「馬鹿か! だっ誰が性転換手術など受けるものか!」
「だよねぇ……君がそんな魂じゃないのは僕だって分かってる」
スザクも傍らにあぐらをかいて、腕も組んで考えている。ロングのラグランTシャツにジャージというラフな格好の彼に対して、ルルーシュがしっかりと着ていたはずのパジャマは前が全開だった。
「おま、お前が寝ている俺に何かしたんじゃないのか!」
「僕がそんな魔法みたいなことできると思う?」
うん落ち着いてルルーシュ、と一転晴れやかな顔でのしかかってくるスザクはいい笑顔でこうのたまった。
「折角だから、ね」
「あっ、くっ、やめ……」
赤く尖った乳首をいつものように弄られている。同じはずなのに、なんとなく違う気がする。
「ほら、ルルーシュも触ってごらんよ。どうせ生の女性の裸なんて見たことないんだろうし」
「うるさっ、この馬鹿! やめろ」
無理矢理ひっぱられた腕で強制的に触れさせられたそこは、驚くほどの柔らかさだった。ふにふにしているのに、確実な重さがある。
「あっ……」
「ね、気持ちいいだろ」
乳首への刺激だけで変な気持ちになってきているのに、乳房を全体的に揉まれるといつもとは違った感覚に腰に重い感覚が溜まってゆく。
「なに、もう腰振っちゃって。そんなにおっぱい気持ちいい?」
「んぅ……うるさいっ。なんかヘン……」
はぁはぁと呼吸が荒くなり、顔が熱くなってくる。いつもと同じだ。いつもと同じように身体は感じ始めていた。
「もうこっちも準備できたかな」
そう言うとスザクは抵抗する間も無くパジャマを脱がしてしまった。
下着だけになったそこをそっと触ってくる。
「ふあ、あっ、そこはだめ」
「もう濡れてるね。パンツに染みちゃってるよルルーシュの愛液」
「えぇ……?」
スザクがさするソコからは、ちゅくちゅくと僅かな水温が聞こえる。性教育以上のことを知らないルルーシュには何のことだか理解が追いつかない。
「ルルーシュ……自分のおまんこ見てみよっか」
これは勉強だよ、と耳元で囁いてスザクはどこかへ行ってしまった。
残されたルルーシュは自分の身体に翻弄されていた。さっきスザクに触られたところはじんわりと熱くひくひくする感覚がある。そこがもっと刺激を求めているのはルルーシュにも分かった。今日はここでスザクを受け入れるのだと思うと、腰が震えてまたソコがひくついた。
「ごめんルルーシュ。お待たせ」
戻ってきたスザクの手にはノートより大きいくらいのサイズのスタンドミラーがあった。今から何が行われるのかを理解したルルーシュはベッド上をずり上がるように逃げようとするも、スザクから逃げられる訳もなく膝を立て股を開かされるに至ったのである。
「嫌だ、やめろ……見たくないっ」
「大丈夫だって、ピンクで綺麗だから」
ルルーシュは必至で目をつぶりいやいやをするが、スザクの指先でそこを割り広げられる感覚にいたたまれなくなってくる。
「ほら、もうおつゆ出てる。女の子になっても濡れやすいんだね」
「うるさい……っ、ひゃ、あ、あっ!」
スザクの指がある場所に触れると、途端に痺れるような刺激がダイレクトに腰に昇ってくる。
「ココ、気持ちいでしょ。女の子のおちんちんなんだよ」
「えぇ? んっ、そこ、だめっ、あん」
言われた意味が分からずについ目を開けてしまったが最後、鏡に映っているのはだらしなく足を広げて感じきっている自分の姿だった。足の間は通常と違って茂みの間に深いピンクのクレヴァスが広がっていた。
「じゃあ、一回ここでイってみよっか」
先程強い快感をもたらした部位は、スザクの指先でさするように摩擦を繰り返されている。
「あぁ、ん、なにコレ……」
触られるほど腰の辺りがむずむずしてきて、なんだか切なくなってくる。
「はは、勃起してきた。ねぇ気持ちいい? どんな風に気持ちいい?」
「どんな風って……あぁ、ん!」
スザクは興味津々といった様子でデリカシーの欠片もないことを聞いてくるが、ルルーシュはそれどころではない。何かがのぼってくる感じがして、思わず腰が動いてしまう。
「あ、あ! だめ、変だっ……」
「ほらイイでしょ。そのまま、イッて」
耳元で吐息交じりにささやかれて、一気に背筋に快感が走る。
「や、やぁっ――!」
いつもより更に高いだろう声を挙げて、ルルーシュは衝動に身を任せた。
「すごいね、ルルーシュ。ココがひくひくしてる……」
スザクが生唾を飲み込んで見つめる中で、ルルーシュは生涯味わうことはないだろうと思っていた女の悦びを知った。
「ね、今イったところがクリトリス。で指挿れてるところが膣ね。そのまわりのびらびらも気持ちいいでしょ? もうぐっちょぐちょだもん」
一回イって思考がおぼつかなくなったルルーシュは、言われるがままに鏡へと目を向けてしまう。秘部には徐々にスザクの指が侵入してきており、時折ひきつった痛みが走る。
「もういいかな。ごめんね、最初はどうしても痛いと思うけど……」
一人で楽しそうなスザクはもう臨戦態勢のモノを取り出すと、まだ絶頂から抜け出せないルルーシュの秘部に添える。くちゅっと鳴る音はそれを待ち望んでいるかのようだ。
「ほら、ルルーシュ、入ってくよ……」
「いや、あ、無理、無理だ! そんなの入らないっ」
「いっつも入ってるんだよ? しかもお尻に」
「ええい黙れぇスザク!」
「ほらじっとして……」
呼吸を合わせてじわじわと侵入してくる熱い塊。こんな感覚はいつも味わっているようで、しかしいつもとは全く違うようにも思える。
「つあっ! あ、う……」
「痛い? こっちは初めてだもんね」
心配そうにしてルルーシュに覆いかぶさるスザクは、少しでも気を逸らせようと顔中にキスを降らす。
「両方のハジメテ、僕がもらっちゃった」
「うるさっ……くあ! いたいぃ……」
「いま破れたね、処女膜。なんかルルーシュに処女膜って合わないなぁ……ふだんあんなにいやらしいから」
楔と言葉によるスザクの攻撃は止まらない。
「ああ! もうやめ、いたい、いたいからぁ!」
「ん……全部入ったよ、ナカが吸い付いてくる……」
見上げるスザクは良さそうに自分の中を味わっている。同じようにこちらもソコが痛いのにひくひくとスザクを食んでいるのが分かってしまって腰が揺れる。
「もう動いても大丈夫?」
うん、うんと声にならない頷きを返すと、途端にスザクの揺さぶりが激しくなる。
「あ! あぁ、あぅ……」
ずんずんと奥まで突き上げてくるのはいつもと変わらない。
「も、だめ、スザク! だしたい……」
「ふふ、今ルルーシュは女の子なんだから射精できないでしょ。いかせてって言って」
「ふぁ……あ、あ、いかせて、いかせてぇ」
いつも以上に弱弱しく欲をそそられるルルーシュの様子に、スザクは自分のものが更に固くなったのを感じた。
「あ! あん! ひっ」
ルルーシュの両足は自然とスザクの腰にまわりまるで離さないと言っているかのようだ。
「あぁっ! も、もうくる、キちゃう、――――!」
全身をぴんと張らせてルルーシュは達した。スザクは膣の絞りに耐えきれなかったように子種をルルーシュの胎内に注ぎ込む。
「すごいルルーシュ……中イキもできたね……」
「あ……あつい……」
新鮮で、ものすごく強烈な愉悦を味わいながら、ルルーシュは眠った。
翌朝。ルルーシュは横で呑気に寝ているスザクの襟元を掴んで揺さぶり起こした。
「スザク貴様っ! 昨夜は散々……なっ、中出し、して……」
寝起きの上、訳の分からないことで怒られているスザクは機嫌悪そうに返事をする。
「どうしたんだい、ルルーシュ……。昨日はセックスしてないじゃないか」
「いや、しらばっくれるな! あんなに出したら孕んだに決まってる、責任とってもらうからな!」
「はら……む?」
スザクの元々大きな瞳が更に見開きルルーシュを見る。
その瞳の真剣さにルルーシュはまさかと思い、自分の胸に手を滑らせる。
そこには……。
「……………………」
「ねぇルルーシュー、エッチな夢見るくらい普通のことだってー、あーけーてーよー」
「内容が普通じゃないから困ってるんだ!」
寝室のドアをロックしてしまったルルーシュに、スザクは扉越しに説得を試みている。声がこもって聞こえてくるのはきっと頭からふとんをかぶってしまっているからだろう。
恥辱にうずくまって外界を遮断しているルルーシュの頭は、やはりいつものようにイレギュラーの前では役に立たなかった。
女の身体になってスザクとあんなことをする夢を見るなんて――!
「夢は夢だから! 僕ルルーシュがそういう願望なんて全くないって分かってるから!」
スザクの必死のフォローも今のルルーシュには届かない。
スザクとこういうことをするようになってから、自分はずっと俗にいう女役だった。そのことが潜在的な願望として夢に現れたのだとでもいうのだろうか……!
「男でも女でも、君が好きなのは変わらないよ!」
そんなルルーシュの思考を断ち切ったのは、スザクの堂々とした宣言だった。
ルルーシュはひたひたとドアまで歩いていき、ロックを解除した。シュンと勢い良く開いたドアの向こうには、真面目な顔をしたスザクがいる。
「……本当か?」
「あぁ、もちろん」
「きっ、……気持ち悪いとか思ってるんなら、わ、別れてもいいんだ」
ぞ、と言い終わる前にルルーシュはきつく抱きしめられた。
「馬鹿なこと言わないで」
ルルーシュは柄にもなく少し瞳が潤んだ。
「でも今度エッチする時に詳細教えてね」
「馬鹿スザク!」