「今日スーパーに行ったらさ」
「お前がスーパー? 珍しいな」
「うん、まぁね。いいものが売ってたんだよ。それで今日のデザートは決まりです」
「? ……まぁ夕飯食べてからな。とりあえず離れてくれ。あぶない」
手に出刃包丁を握り魚と対峙するルルーシュの腰にスザクは抱きついていた。何気ない日常の夕方の一コマ。その顔が普段見ないほどに上機嫌だったのをルルーシュは知らない。
「んっ、はぅ」
後片付けもそこそこに口づけられ、腰に手を回されて口内をかき乱されれば思考はろくに機能しなくなる。じりじりと寝室に近づいていこうとするスザクにルルーシュは息を弾ませながらもとりあえず抗ってみた。
「スザクッ、デザートあるって言ってた、だろっ」
スザクはルルーシュの好みを熟知している。ぷるぷるしたもの。プリンやゼリーなど、有名な洋菓子店の物でなくても、コンビニやスーパーで思わぬ掘り出し物を探してきてくれるのだ。ルルーシュはきっと今日も新商品を買ってきてくれたのだろうと密かに期待していた。もう店頭には苺が並ぶ季節だ。苺が乗ったプリンアラモードだろうか、とか、ごろごろ果肉の入ったゼリーだろうか、だとかいったルルーシュの期待はあっけなくぶち壊された。
「うん! 寝室に用意してあるから、早く行こう」
考えている間にも、上顎や舌を絡めとるスザクの舌技に口端から唾液がしたたり、それをまたスザクの舌が追いかける。
寝室には冷蔵庫などない。これでスザクの言う“デザート”は真っ当なものではないことをルルーシュは理解した。
角度を変え、二人で互いの髪をかき混ぜながらベッドに倒れこむ。ああ、今日もまた流されるままに行為になだれ込むのかと思いつつも、ルルーシュは反応し始めている身体を止められないでいた。
「ふ、あっ……、お前まさかデザートは君だとか、そういう馬鹿なことを」
「んー、まぁそうなるかな。正しくはこれからひと手間加えてルルーシュをデザートにするわけだけど」
じゃん、という能天気な効果音とともにルルーシュの目の前に突き付けられたのは、何本ものチューブ。赤くて、白くて、牛の絵。
「……練乳……?」
「きみ好きだろ、練乳」
「っあ! つめたっ」
「あ、ごめん。十分あっためたつもりだったんだけど」
いつものように手早く着衣を剥かれたルルーシュはベッドに仰向けに転がされ、スザクに跨られている。まず開けられた一本目のチューブは、あらわになったルルーシュの胸に垂らされた。赤い飾りを囲むように絞り出し、盛り付けたそばから舐め取られる。
「ふぁ、ん、ん」
じゅるじゅるという下品な音にも身体は反応する。そういう音をスザクが立てているという事実が恥ずかしくて性感を煽るのだ。
「んーーっ」
乳輪のつぶつぶを一つずつ舌を立てて舐められる。真ん中への刺激が欲しいと思うと焦らしてまた練乳を乗せられる。いい加減にしてくれと言いそうになる絶妙のタイミングで乳頭に軽く噛みつかれる。
「ひゃあっ! あぁっ」
執拗な舌での愛撫で赤くなったそこを見てスザクが満足気に言った。
「えへへ、苺みたい」
「言うと思ったっ!」
「じゃあそろそろ」
ごそごそとスザクがパンツをくつろげると、もう我慢の限界にきているそれは勢いよく飛び出した。
「ルルーシュだって味わいたいよね!?」
「お前の思考は丸分かりだぞ!」
まぁまぁと言いながら自分の屹立を擦り上げ、そこにトッピングのようにブツを垂らしたスザクは、それをルルーシュの口元にぴたっと押し付けた。
「はい、どうぞ」
「うーー」
ルルーシュは口を塞ぐという幼児のような抵抗をしてみた。だがそれも長くはもたない。
「おいしいよ? ルルーシュいっつもプレーンでも舐めるの大好きじゃん」
「プレーンとか、うぅっ」
口を開きかけたところを狙って押し込まれる。
(くそっ、歯が当たったらどうするんだ)
まぁそれも自業自得なのだが、あくまでスザクの心配をするところがルルーシュである。
口に入ってきたそれは確かに甘く、舌に残るほど濃厚で、ミルクの風味が鼻に抜ける。シーツにこぼすと洗濯が面倒なので必死に舐めとっていると、自然に夢中でペニスを口撫することになり、意図せずともスザクを気持ちよくしてしまっていた。
次第に練乳に似てはいるものの全く味の違うものが先から出始めるが、ルルーシュは構わずに吸い込んでいた。
「っく……、はぁ、ルルーシュ……」
「ふあっ!」
既に勃起していた性器を握られ、吐息交じりに囁かれた。
「二人で舐めよっか」
自分もそうしてほしいと思っていた、なんて決して言えない。
ベッドヘッドに凭れて下肢を放り出しているスザクに、ルルーシュが上下逆に跨るという体勢に気付けばさせられていた。チューブは二本目に突入している。
スザクは目の前のルルーシュの秘部に、好きなだけ練乳をかけ、または注入し、その味わいを楽しんでいた。
「っあぁ……、中にっ、入れるなぁ……」
「すっごいエッチだよルルーシュ……中出しした後みたい」
「食べ物で遊ぶな!」
くぷくぷとそこが収斂するごとにミルクが溢れ出した。チューブの先がアナルの入り口に触れるだけで、そこはひくひくと更なる刺激を欲す。
「あ、も、スザ……」
呼びかけに応えて、スザクはちゅぽとそこから口を離した。
「なぁに?」
「もうっ……、分かってる、だろ……」
いつもならもうそこに指が何本も入ってきて、前立腺ごとこねくり回されている頃だというのに。
「自分で言った方が気持ちいいよ」
「あ……」
全身が総毛立った。
「いれ、入れて……、指入れて」
「指でいいの? ルルーシュは控え目だなぁ。もう挿れようかと思ってたのに」
「んっ、指の後に、コレっ挿れて、挿れて……」
ルルーシュは情動のまま、恥も外聞もなくソレにむしゃぶりついた。するとご褒美のように後腔の奥まで待ち望んだ刺激がやってきた。
「ああぁ! あぁ、もちいい、きもちいい、スザクっ」
焦らされた故のあまりの快感に尻をふりふりと振るルルーシュが愛おしくて、スザクは思わずその白い形の良い尻に音を立ててキスをした。
くちゃくちゃと指が出し入れされているそこは、本当に中に出されたものを処理しているようで唾を飲み込むほど卑猥であった。
舌での愛撫で十分とろけていたアナルは瞬く間に指を三本咥え込んだ。一番の性感帯である前立腺を擦ってやれば、ルルーシュは面白いほどに啼いた。
ふいにそこがきゅうきゅうと締め付けられ、ルルーシュが蕩けた瞳でスザクを見ていた。
「スザク……ちんちん挿れて……」
「はあぁ! あっあっ! あぁ!」
「ルルーシュ……、えろすぎっ」
スザクが腰を振る度にルルーシュは押し出されるように喘いだ。二人の結合部は白濁したものが溢れ出ていて泡が立ちそうな程だ。
「んぅ、すざぁ! アッ」
仰向けになったルルーシュの胸や腹に、スザクは残りの練乳をありったけ絞り出した。それを舌で掬い取ると、そのままルルーシュに口づけ食べさせた。
口づけが深まる程に、ルルーシュも無意識に脚でスザクを締め付けた。
「あっ、はっ、もう、ダメっ」
「イキそう?」
ルルーシュは口元から白い雫を零しながら必死で頷いた。
「じゃあ、言って。いつもの」
「いや、あ」
逃げを打つルルーシュの腰を両手で掴んで、スザクは本気で攻めにかかった。
「アッ、あああ、イッちゃ」
「ほら、イキたいんだろ?」
「っあ! スザクッ、イカせて、お願いっ……」
涙ながらに見つめられ、また下では後腔できゅうきゅうとおねだりされて、スザクはルルーシュを絶頂へと誘う。
「ぁああ! あん、イく、イっ――――」
裏筋で思いっきり前立腺を擦り上げた瞬間、ルルーシュは己の性感を解放させた。びくんびくんとベッドの上で身悶える様は言葉に尽くしがたいほど淫猥で、スザクの征服欲を満足させるに十分だった。
「はぁ――、あっあっ」
「まだルルーシュのミルク出てるよ」
「うるさっ、んんう!」
震えているそこを手で思いっきり扱かれ、ルルーシュは最後に勢いよく精を飛ばすと、ベッドにぼすんと倒れ込んだ。
*****
二人の息遣いが落ち着いてきた頃、スザクがおずおずと切り出した。
「僕さぁ、今まで言えなかったんだけど、やってみたいことあるんだよね」
「はぁっ、なん、だ……?」
ルルーシュはつぶっていた瞳を開けて、少しぼんやりしながらスザクを見つめた。
「でも、やっぱりルルーシュは怒るかなって」
「言ってみろよ」
「僕、顔射してみたいなぁって……」
快感でぼーっとしている頭でルルーシュは考える。
「なんだって……?」
聞いたことはあるような単語だ、だが詳細はルルーシュの一般的性的項目に乏しいライブラリーからは出てこない。
「つまり、顔に出したい……です」
「なっ! 馬鹿か!」
「だから! もう一本あるから! これなら甘いし! ね!?」
もう二本使い切ったと思っていたらスザクは三本目のミルクを取り出した。まだ持っていたのかとルルーシュはスザクの周到さに驚き、また呆れもした。
「……ッ、はぁ……、自分のじゃなくてもいいのか」
「それじゃあ流石に嫌だろう? これなら汚くないし、おいしいし……」
ダメかな、と自分におねだりするようなスザクの顔は何度も見てきたもので、そしてそれに何度もはめられてきた。ザーメンでなく練乳にするという点で一見ルルーシュを気遣っているように見えて、それは立派な作戦なのだ。
だがパートナーの性嗜好を満たすのも、円満な関係づくりに必要だとルルーシュの頭のどこかが判断している。思えばいつもセックスではスザクは自分を満足させるために、自らの欲求をあまり言ってこない気がする。
「……分かった。いいぞ」
「本当? 本当に? ありがとうルルーシュ! 全部僕が舐めとるから、あと目に入ると痛いらしいから、つぶっててね」
「ああ……」
ひょっとしたら今自分は結構な変態プレイに足を突っ込んでいるのかもしれない、とも思ったがルルーシュは素直に従った。
ぺりぺりと包装が剥がされるのを目を閉じてルルーシュは待っていた。それは不意にやってきた。
ぺちゃっという音を立てて、白濁はルルーシュの眉間から頬にかけて飛んできた。思わずびくっと身体を震わせてしまったが、スザクからの反応がない。おそるおそるルルーシュがそのけぶるような瞳を開くと、スザクはコンデンスミルクのチューブなどかなぐり捨てて、己の性器を扱いていた。
「ごめん! ルルーシュ、責めは後で受けるっ!」
「え、いや、あ、ちょっ、待て」
「待てない! くっ――」
それは勢いよくルルーシュに降りかかった。生温かくて独特の匂いをもつそれは男なら馴染みのあるもの……。
「あ、すごいよ、ルルーシュ、すっごいエロい……」
出し終わったようでスザクが獣のようにむしゃぶりついてきた。ルルーシュの綺麗な顔を自分の汚い精で汚すということ。これがこんなに興奮するとはスザクも思っていなかった。
「ごめん、ルルーシュ……やっちゃった」
「……っ馬鹿スザク! ふあっ」
蜜と精を舐め、スザクはルルーシュの弱い耳朶を責めた。彼にしては珍しく息は上がっていて、よほど興奮しているのだとルルーシュも感じた。
「ねぇ、挿れていい……?」
返事をする間もなく、超特急で回復したスザクの雄蕊はルルーシュの秘部に再び戻ってきた。
「あああっ!」
「今日は何回だってできそうだよ。付き合ってね」
「バカっ! んっ、んっ、はぁん」
顔に残っていた最後の白濁を口移しで与えられる。
「……おいしかった?」
「はぁっ、んぅ、甘くて、苦い……」
ごちそうさま!
今回はじめての取り組みをしてみたのですが、却っていやらしくなった気がします。