紅の天鵞絨1*

 

戦争が起こらずにそのまま枢木で暮らしていたらなパラレル。
!ゲンルルR-18!

 

俺とナナリーが枢木の本邸へと居を移してもう何年も経った。日本で迎えたはじめての冬、土蔵など人の住む所ではないと思い知らされた。ナナリーだけでなく俺までひどい風邪をひいて寝込んで以来、俺たちはスザクの部屋がある離れに部屋を用意されて、そこで暮らしている。
もう寒さに震え病を得ることもない。離れは俺たちがいつでも移ってきていいように、すでにバリアフリーに改装されていたし、洗濯機もキッチンもあった。生活の質は格段に上昇した。すべて枢木首相が、用意するように指示したらしい。
スザクはもう中学も最後の学年だったが、俺とナナリーは学校には通っていなかった。俺は学校に頼らずとも勉強することは出来たし、ナナリーには普通の学校で学ぶことは難しかったからだ。けれどナナリーには点字での読み書きの仕方を教えたり、彼女が好みそうな物語を点訳したり、ハンディがあろうと、少しでも彼女の生活を豊かにすることにはどんな努力も惜しまなかった。

「ルルーシュ、ただいま」
「スザク、おかえり」
スザクが部活を終えて帰ってきた。彼は子どものころからやってた剣道を今も続けている。もうすぐ最後の大会があるそうで、最近は特に熱心に練習しているようだ。スザクも背が伸びて、入学した当初は不格好だった詰襟の学生服が、近頃は様になって見えるようになった。けれど二人で並ぶと俺の方が少し大きいのは、密かに俺のプライドを刺激した。
「あ、そうだ。今週末父さん帰ってくるって」
部屋で着替えてきたスザクは、普段俺たち三人が過ごす居間へと入ってきた。
「議員が?」
「おじさまお忙しくていらっしゃるのではないのですか?」
「いや、もう総理じゃないからな。あの頃と比べたら大分余裕があるみたいだ」

枢木ゲンブ。スザクの父親で、前日本国首相。今は俺たち兄妹の保護者、になるのだろうか。
あの男の考えていることはよくわからない、というのが正直なところだ。なぜ、あのようなことを繰り返すのだろうか、常軌を逸している。そう思うのだが、俺には逆らうことは許されない。
「ルルーシュ、どうかしたか? なんか難しい顔してるぞ」
「っいや、なんでもない」
顔を覗き込んでくるスザクのみどりいろの目がまっすぐで、俺は自分の奥底を見透かされそうで怖くなった。慌てて目をそらしてしまったが、不自然に思われなかっただろうか。
「ふぅん。ならいいけど。なんかあったらすぐ俺に言えよ! お前はいつも一人で抱え込むんだから」
「そうですよ、お兄様。私たちはお兄様の力になることだったらなんだってやりますから!」
「ありがとう、スザク、ナナリー」
でもこのことは誰にも言えない。一方的な被害などではない、これは取引だ。自分が汚いということは十分理解している。けれどこんな自分をひけらかす勇気はなかった。

俺がナナリーにもスザクにも言えない秘密を持ったのは二年ほど前のことだ。
枢木議員は普段は東京にいて、ここ富士の本邸に帰ってくるのは数カ月に一度だった。その時は俺たち兄妹もいつもとは違って、本邸の食堂で議員とスザクと食事を共にするよう言いつけられていた。もう毒殺を恐れてはいなかった。しかし会話は弾まず、あまり楽しい食事ではなかったので俺たちは議員がお帰りだと聞くたびに憂鬱になった。
その日も豪華な食事を味も分からずに飲み込んで離れに下がろうとした時だった。俺は議員に一人だけ食堂に残るようにと言い渡された。その発言の意図は読めなかったが、そこで告げられた言葉にもっと俺は混乱した。
「今夜休む支度をしたら、私の部屋に来なさい」
「……なにかお話があるのですか? でしたら今ここで伺いますが」
「大切な話だ。君たち兄妹の今後を左右する。お分かりいただけますかな、ルルーシュ殿下」
ついぞ聞かなくなった尊称で呼ばれて、俺は嫌な予感がした。
「……分かりました、後ほど伺います」
議員の意図が分からず不安な気持ちのまま、いつものように風呂に入り、着替えも済ませた。スザクとナナリーももう部屋に引き払っていたので、離れはしんとしていた。スザクはもう寝ただろうか。なぜだかスザクには知られたくなくて、俺は隣の部屋から物音がしなくなるまで待った。
静かになったので足音をたてないように気をつけながら、離れを抜け本邸へと向かう。議員の部屋は本邸の一番奥まった所にある。こんな所まで足を踏み入れたことはなかった。用事のない場所にあえて立ち入る好奇心は持っていないのだ。見つけた分厚いドアを三回ノックすると応えが聞こえた。
ここまで来てしまった。意を決するしかない。

 

「失礼します」
扉をあけると、そこは左右の壁が本棚で埋め尽くされた書斎だった。真ん中にはソファーとテーブルの応接セットがあって、その向こうに机がありこの家の主は豪奢な椅子に座っている。
「こちらへ。適当に座りなさい」
手で促されて、ソファーに腰掛ける。議員も腰を上げて、ローテーブルを挟んで向かいに座った。
「それでお話というのは」
議員は俺を真っ直ぐ見詰めながら、組んだ手の甲の上に顎を置いている。じっと見つめられて思わずたじろぐ。なぜそんなにじろじろ見つめる……? 頭から足の先まで値踏みするように見られ俺はここに来たことを後悔し始めていた。
そして嫌な予感は現実になる。
「妹さんの具合はどうだね」
議員はそう言うと俺が座っているソファの横まで歩いてきた。見下ろされて居心地が悪い。
「足の方はリハビリで良くなってきていますが、目の方はまだ……」
「そうか」
自分から聞いた癖に興味の無さそうな返事だ。やはりこの男は気をつけなければ。そう思った矢先、武骨な手が伸びてきて髪を触られた。

「っなにをなさるんですか!」
思わぬ行動にその手を振り払おうとしたが、逆に手首をつかまれてしまった。放して欲しくてもがくと、さらにぎりぎりと締め付けられて恐怖を覚える。
今度はもう片方の手が頬を撫でてくる。
「放してください!」
「あぁ、きれいな肌だな……。お前をはじめて見た時は女子と見間違えたが、この年になってもまだ少女のようだ」
女のようだと言われるのは癪に触って、目の前の男を睨みつけるが男はそれすらも楽しんでいるようだった。
「私はお前のことを気にいっているのだよ。何よりこの髪が美しい」
「……やめてください」
髪から頬まで顔全体をべたべたと触られ居心地が悪い。不躾な視線がとにかく不愉快で下を向いていると、分厚い手に顎を掴まれて顔を上げさせられた。
「妹が日本でも有数の名医から治療を受けられているのは誰の力か。聡いお前は当然理解しているね」
「あなたの、おかげです」
ああそうだと言わんばかりに男は満足そうに笑った。
「ここでお前が私の機嫌を損ねるようなまねをしたらどうなると思う」
「……僕に何をお望みですか」
「やはり頭がいいな。話が早い」
そう言い放つと議員は俺の肩を突き飛ばしてソファに押し倒してきた。両腕が俺の夜着のボタンをはずし始める。
「っいや! え? なにを」
「静かになさい」
上半身を露わにされたかと思うと、乳首を口にふくまれる。
「やっ、やめてください、ひぅ」
ぬめった感触が気持ち悪くて抗議の声を上げると、もう片方の尖りを強くつままれて痛みで全身がこわばった。
「いたぁ……」
「はは、じきにここをいじられるだけで喘ぐように躾けてやるからな」
――いやだ、生ぬるい息が気持ち悪い。議員はなぜこんなことを? これが支援への代償だというのか?
まとまらない考えに支配されていると、下衣にまで手が入ってきて、下着ごと下ろされてしまった。
「ほう、やっと生えそろえたところといった感じか。ペニスはまだ可愛いものだな。ここを誰かに触られたことは?」
「え……、そんなことあるわけなっ、あ!」
そんなところを他人に触られたことなんてもちろんなくて、驚きに声が漏れてしまう。握りこまれて上下に動かされて、今まで味わったことのない不思議な感覚が襲ってきた。
「いやぁ、そんなところっ、さわらないでください」
「良いな、初々しい反応だ。だがお前ももう自慰くらいしたことがあるだろう」
「じ、い? え……、あ、あぁっ」
「ここを自分で触ると気持ちいいだろう?」
「しら、ぅあっ、そんなのしらないっ!」
そんなところを意図を持って触ろうと思ったことはなかった。
「お前くらいになったら男は皆するようになるものだが……」
「ぅあ! あ……、すざ、すざくも?」
「はは、そうだ、スザクもだ。あれはお前より成長が早そうだな。……ほら見てみなさい、勃起したぞ」
「え……?」
そこに目を向けると、いつもと様子が違っていた。芯が通ったように上を向いている。こんなことはじめてだった。
「こうなったここを見たこともないのか。まさか精通もまだではあるまいな、……夢精は?」
問われた意味が理解出来ずに呆けていると、幼子に言い聞かせるように説明された。
「朝起きたら下着が濡れていたことはないか」
「あ……」
それには確かに心当たりがあった。その時は何が起きたかよく分からなかったが、なにかもやもやした夢を覚えている。しかしどうせ汚れた下着を洗うのは自分だったから、恥ずかしい思いをすることもなく大して気にしてはいなかったのだ。
「ふ、夢精はしているようだな」
「あっ、あっ、なに、これぇ……」
「気持ちいいだろう、そのまま感じていたらいい」
触られているそこも、頭も熱くなってきて、閉じている目から涙がこぼれてきた。おかしくなりそうだった。
「んん! あー……、あぁ! も、やめてっ」
「ほら、我慢せずにイきなさい」
「あっあっ、いやっ――!」

 

――たぶん快感を得たのはそれが最初のことだったんだと思う。
びくびくと身体が震えてそこから温かい液体が出て、やがて力が抜けた。排泄にも似た感覚は俺から思考能力を奪っていた。きっと口元を唾液で汚していることにすら気が付いていなかったのだろう。
「色も薄いし量も少ない。可愛いものだな」
「はぁ、はぁ……」
「まだ終わりじゃないぞ、これからが本番だ」
上がる息を抑えられずに放心していると、今度は両膝の裏に手をかけられて上から押さえつけられた。
「はぁ、あ、なにっ」
こんな格好、恥ずかしいところまで見えてしまう。屈辱に耐えられずなんとかしてそこを隠そうと身をよじるが、大人の力には敵わなかった。
「じっとしなさい。もっと気持ちよくしてやろう」
議員はどこからかボトルのようなものを取りだすと、そう言いながら蓋を開けた。片手の指先にねとねととした粘液をまとわりつかせている。
「最初だからな、薬入りの潤滑剤を用意してやった。ここを使うには準備がいるんだ」
指が思いもしない所に入ってきて痛みが走る。ここを、使う?
「いたぁ……、いたいぃ」
「力を抜きなさい」
太い指が第二関節まで入ってきて抜き差しされる。指の体積で少し広がったそこにボトルから直接粘液がかけられて、冷たくて身体が震えた。入れられた苦しみに固まっていると、次は指が二本まとめて入れられて痛さと変な感覚に呼吸の仕方を忘れた。
「っは、はぁ! うぅー、あ」
「そろそろ効いてきたんじゃないか、熱くなってきただろう」
「えっ?」
熱くなる? 言われた意味は掴めなかったが、そこに意識を集中させてしまったのが間違いだった。
「はあ! あっ、なんか、そこあつ、かゆぃ」
よく分からない感覚に不安になって目の前の男を見れば、好色な様子でにたにたと笑っている。抜き差しが繰り返されて、後ろが広がってしまうと、そこから指が引き抜かれた。圧迫感はなくなったが、そこはむずがゆさで疼いてしまう。腰が意図せずひくひく揺れてしまうのが恥ずかしかった。
「あー、あっ、あっ、んん」
声が漏れてしまうのも恥ずかしくて、手で口を覆う。自分の手が冷たくて火照った頬に気持ち良かったけれど、刺激がなくなった後ろが物足りなく感じてしまう。
「どうしてほしいのか言いなさい」
そんなことは言いたくない。言いたくないのに、そこのかゆみはますます増してきて、自分の指で触りたいと思ってしまうほどだった。
「あっ、っ、さわってください、さっきみたいに、指ぃれて」
耐えきれずに欲望を口にしてしまうと顔が燃えるように熱くなった。馬鹿にしたような笑い声が聞こえたかと思うと、待ちわびたその場所に指が入ってきて遠慮なく抜き差しが始まる。
「あ! あ! はぁっ、あー」
中を弄られて声が止められなかった。疼きが解消されてただ心地よさだけを感じる。じゅぷじゅぷという音が己からしているのだと思うと、恥ずかしさで涙が出てくる。
ふいにジッパーを下ろす音が聞こえて、何事かとそちらに目を向けると、議員が下着から性器を取り出して擦りあげていた。それは黒ずんでいてグロテスクで、自分が知っているものと全く違っていた。男は目をみはる俺の様子を楽しそうに見やると、それを後ろに押しつけてきた。
「ここに挿れてまたイかせてやろうな」
「やっ、なにっ? あぁ! やめて」
止める間もなく熱い切っ先が入り込んできた。
――スザクの父親の性器があらぬ所に入っているのだ。
信じがたい事実を自覚すると、もうわけがわからないほど混乱した。
「ひぃ! はぁっ、いたいっ……、あぁ!」
「すぐに慣れる、力を抜きなさい」
先程までの指とは明らかに違う質量に息をするのもままならなかった。痛みと苦しさで涙がとめどなく溢れて、落ち着こうと大きく息をつくと、身体が弛緩してより深く入り込んでくるのを感じた。ずんっと一番奥まで突き進まれて、衝撃に身体が大きく跳ねた。
「く、はぁっ! あん、あぁ、あー! も、いっぱい、くるし」
「くっ……、いい締め付けだ。やはり初物は違う」
満足そうに笑う男が腹立たしいけれど、大きいもので内壁を擦られる気持ちよさに、揺さ振られるがままに声が出てしまう。
「あぁ、あ、うんっ!」
「また勃っているぞ。お前は初めてなのに後ろに入れられて感じているんだ」
「いやぁ……、ちがぁっ、あぁ、もうったすけてぇ」
またさっきの出そうな感覚がやってきて身体に力が入ってしまう。息も荒く足は突っぱねて、頭は解放することでいっぱいになった。
「ははっ、気持ちいいと言ったらイかせてやる」
ついさっき知った“気持ちいい”という感覚。いくというのはあの感覚のことをいうのだろう。そう思うと口は簡単に心を裏切る。
「あ! ぁ……、もちい、きもちいいから、イかせて、あああぁ!」
恥ずかしい言葉を口にした見返りに性器を扱かれて、俺はまた白濁を吐き出した。
「おお締まるっ! 出すぞ!」
ひときわ強く打ちつけられ動きが止まったかと思うと、入れられた性器が震えて中に熱いものが広がる感覚がした。それがなにかなんて分からなかった。
はじめて味わう開放感に荒い息をついていると、急速に視界が狭くなって瞼が閉じていく。

「可愛い子だ……、私に従っていなさい。それが最も妹の為になるのだよ」

 

 

中学生ルルもあどけなくて可愛かっただろうなぁ